Pythonの省略記号(...)とは？多様な使い方を徹底解説

プログラミング初心者から上級者まで、Pythonの省略記号「...」（Ellipsis）について解説します。この記事では、省略記号の基本的な意味から、具体的な使用例、注意点まで、詳しく説明します。

Pythonの省略記号(...)とは？

Pythonの省略記号(...)（Ellipsis）は、特別なPythonオブジェクトです。メソッドを持たず、シングルトンオブジェクトとして、単一のインスタンスへのアクセスを提供します。

省略記号は、以下のような場面で使用されます。

• Pythonインタプリタでのデフォルトのセカンダリプロンプト
• 多次元配列のアクセスとスライス（NumPyインデックス）
• 型ヒント
• 関数内でのpass文の代替

省略記号の具体的な使用例

省略記号の具体的な使用例を見ていきましょう。

Pythonインタプリタでの使用例

Pythonインタプリタで複数行にわたるコードを記述する際、2行目以降のプロンプトとして省略記号が表示されます。

>>> if True:
...     print("Hello, world!") # 省略記号は、複数行の入力を示す
...
Hello, world!

NumPy配列のアクセスとスライス

NumPyの多次元配列において、省略記号を使用することで、簡潔な記述で配列の要素にアクセスしたり、スライスしたりできます。

• アクセス: 特定の範囲の要素へのアクセスを、インデックスを省略して記述できます。
• スライス: 高次元データ構造のスライスにおいて、省略記号は特に重要です。

import numpy as np

array = np.random.rand(2, 2, 2, 2) # 4次元配列を生成

print(array[..., 0]) # [:, :, :, 0]、[Ellipsis, 0] と同じ意味

型ヒントにおける省略記号

typingモジュールを使用して型ヒントを記述する際に、関数の引数または戻り値の型がAnyであることを示すために省略記号を使用できます。

from typing import Callable

def inject(get_next_item: Callable[..., str]) -> None:
    ... # 引数の型がAnyであることを示す

def foo(x: ...) -> None:
    ... # 戻り値の型がAnyであることを示す

pass文の代替としての使用

関数内で、まだ具体的な処理が記述されていない場合に、pass文の代わりに省略記号を使用できます。

def foo():
    ... # pass文と同じ意味

省略記号は、関数のデフォルト引数の値としても使用できます。これは、値が渡されなかった場合とNoneが渡された場合を区別したい場合に特に便利です。

省略記号使用時の注意点

多次元配列のスライスにおいて、一つのスライスの中に複数の省略記号を使用することはできません。

l = np.array([[1, 2], [3, 4]])
# l[..., 1, ...] # IndexError: an index can only have a single ellipsis ('...')

まとめ

Pythonの省略記号(...)は、簡潔なコード記述や型ヒント、未実装部分の表現など、様々な用途に利用できる便利なオブジェクトです。この記事を参考に、省略記号を効果的に活用して、より効率的なPythonプログラミングを目指しましょう。